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しばらく前、教育内容に大幅な改定が加えられました。2000年の事です。「ゆとり」という名のもと、休みの日が増え、国語の教科書から優れた文学作品が次々と姿を消し、学ぶべき漢字が減り、英単語数が減り、円周率も「3.14」から「3」へと簡略されました。他にも細かいことを挙げるときりがありません。 ここではそれらの中から円周率が「3」に簡略された事を例にとり、この改革が子供達に、そして現場の教師に、あるいは家庭にどんな影響をもたらすかを紹介したいと思います。 学校で習う算数は簡単な部分から徐々に学んでいくものです。たとえばこんな具合。(現場での実際の順序とは若干異なるかもしれません)
この教育手順を考えた場合、(1)を理解できなければ(2)で立ち往生しますし、(2)を理解できなければ(3)で立ち往生します。(3)以降も同様です。 子供達の立場から見て一足とびに学ぶのが困難なのは勿論ですが、実は教師の側からもこの手順はとても理に叶ったものなのです。 なぜなら、(2)を教えようとしてそれを理解してもらえないなら 「ははぁ、この子は(1)が解っていないな?」 と気づくことが出来て、即座に対応が取れるからです。 勿論、理解の遅い子供の相手をするのは並大抵の事ではありません。何十回、何百回同じ説明を繰り返しても全然理解してもらえない無限地獄の苦しみは味わったものでしか決して解らないものがあります。 それでも、このような事にいち早く気づき、辛抱強く丁寧にケアして下さる熱血先生には頭が下がる思いです。 と、まずはひとまず賛辞を送っておいて・・・ さて、ここで円の面積計算の授業が始まったとしましょう。もちろん、円周率は「3」です。 例えば「半径5cmの円の面積はどれだけでしょう?」という問題の答えは、 5×5×3=75 cm^2 になります。 ところが、円周率が「3.14」だったら同じ問題の回答は次のようになっていたはずです。 5×5×3.14=78.5 cm^2 何が違うか解るでしょうか? 小数の考え方、あるいは小数の掛け算を理解していないと、この問題は解けません。 つまり、円周率が「3」だった場合、小数の考え方や掛け算を解っていない、いわゆる「おちこぼれ」の生徒を放置したままでも授業を進めていけるという異常事態に気がついて下さい。 見かけ上、授業そのものは円滑に進むかもしれませんが、その実態は責任放棄としかいいようがありません。 そして子供達に不幸なのは、教育システム自体でそうなっているために、いかに熱意のある優れた教師であっても、半径に5.5cmなどと小数を設定しない限り、「教え子の中に小数が解っていない子供がいるかもしれない」などと気づく機会そのものが失われてしまうという点です。 最近のご時勢、学校内で「子供達の動向に注意を絶やさないように」などと指示が多く出されていることと思いますが、実はそれ以前に教育システムが教師に上記のような目隠しを強制しているのが現状です。 そしてこの目隠しは学校内にとどまりません。どこの家庭でも子供が「学校の試験で何点とってきたか」ということは学校での子供の様子を知る数少ない情報の一つです。 仮に自分の子供が円の面積を求める試験で100点を採ってきたら、普通であればお母さんは安心するはずです。 ところがもしかしたら、その子は小数を全く理解しておらず、しかも学校からも放置されたまま・・・なのかも知れないのです。学校の答案すら子供の真実を映さなくなっている現在、お母さんは何を見れば子供の姿を知ることができるのでしょう? 一時が万事で、現在の教育システムを覗いてみると、このようなポイントは随所に見られます。 「ゆとり」という名の改革。 実態は子供が躓きやすい大切な箇所を理解していなくても、誰からも指摘されることなく、問題にされることもなく、どこかの誰かがいつか気がつく時まで先送りです。 そんなこんなで子供の学力低下は勿論のこと、教師の目から、そして家庭の目から子供たちはますます離されてしまいました。 「まさか、自分の子がそんな事になっていたなんて・・・」 などと手遅れになってから絶句するシーンは願い下げです。勉強だけの「まさか」で済むならまだ救われるのですが・・・。 最近になってある程度は状況を見直す風潮があるようですが、それでも本質を捉えた見直しは少なく、あいかわらず子供達の未来にイバラの道を敷いている現状。 これが今の教育のあり方です。 余談: 教育の場で円周率と小数を切り離した理由の一つに、「それぞれは別物である」という考え方があるようですが、この理由そのものにも釈然としないものを感じます。 それは、小数をまず学び、やがて円周率を学ぶ段階で「小数はこんなところで用いると役に立つんだよ」という事実を示してあげられる絶好の機会だからです。 使い方も解らず、それが何であるかも知らされないままに細切れになったパーツを詰め込ませるだけでは、子供達の応用力はますます低下の一途でしょう。 これら一連の話は般若心経の秘密の事例紹介として記述しました。もしよかったらこちらもご覧ください。 |
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